一般的な確定申告をおこなう場所
「確定申告の場所はどこで?」と聞くとおそらく『税務署』と答える方がほとんどでしょう。
では、「どこの場所にある税務署?」と聞くとはっきりと答えられない方もいるのではないでしょうか。中には「税務署ならどこでもOKでしょ」と思う方もいます。
確かに、所得税は国税ですから、基本的にどこの税務署から確定申告して納めても、国の財源になることは同じです。ですが実はどこでもいいということはなく、一般的に確定申告をおこなう場所は決められています。
原則として、住民票のある自治体の税務署で確定申告することになっています。本籍地ではなく、あくまで住所がある場所です。ただ住民票のある自治体と一概に言っても、いろいろなケースが考えられますので、迷ってしまう方もいるかも知れません。
こんなケースはどこで確定申告を!?
年の途中で引っ越しした
確定申告は原則として1月1日時点が基準ですので、年の途中で引っ越しした場合には、前の住所(1月1日に住んでいた場所)を管轄する税務署で確定申告します。
住所と事務所の所在地が違う
基本的にどちらで申告しても構いませんが、両方の税務署に届け出をしないといけません。また、住所から事務所に、事務所から住所に切り替える際にも届け出が必要です。
住民票の住所と居住地が違う
原則として1月1日に住民票に登録されている住所で確定申告することになっています。ただ、住民票の住所ではなく居住地で確定申告したい、という場合は手続きすることで可能になります。
海外に住所がある
ケース①【確定申告の対象となる1年間、海外に住んでいた方】
1年間海外で生活している方は日本国内に住所を有しないと判断され、確定申告はありません。
ケース②【①だが日本国内で一定の収入がある】
日本国内に一定の収入があれば海外で生活していても確定申告の対象になります。
ただ、確定申告の際に日本にいない場合には『納税管理人』を指定し、代わりに確定申告してもらうことになります。その際には『所得税の納税管理人の届出書』を管轄の税務署に提出しないといけません。
ケース③【転勤で海外赴任しているが、その仕事の事務所が日本国内にある】
海外での仕事が日本国内にある事務所の仕事の場合、事務所の所在地で確定申告をすることになります。確定申告の際に日本にいない場合は②と同じ対応になります。
ケース④【転勤で海外赴任しているが、事務所等がない】
③のケースで日本国内に事務所がない、という場合には、海外に転勤する前に住んでいた住所で確定申告を行うことになります。日本にいない場合は②と同様です。
何らかの理由で住所がない
ケース①【住所はないが居所はある】
住所がない方で、居所は明確にある方は、その居所を管轄する税務署で確定申告をします。
ケース②【住所も居所もないが事務所はある】
住所もこれといった居ところもない、という方で事務所はあるというケースでは、事務所の所在地を管轄する税務署に確定申告します。
ケース③【住所も居所も事務所もない】
住所も居所も、そして事務所もないという方は、どこで申告したらいいかわからないでしょう。その場合は規定により『麹町税務署』で確定申告することになります。
こんな時の確定申告はどうする?どこで?
年内中に確定申告すべき本人が亡くなった
確定申告すべき本人が亡くなったのですから、確定申告はしなくてもいい、というわけにはいきません。亡くなる直前まで働いて収入があった方は、確定申告の義務があります。
とはいっても、本人は亡くなっているのですからできません。この場合、相続人が亡くなった本人に代わって確定申告をおこなうことになります。これを『準確定申告』といいます。
年の途中で外国に帰化した
帰化すれば日本人ではなくなるわけですから、確定申告の必要も納税の義務もない、と思われがちです。
確かに帰化した後はそうですが、年の途中で帰化した場合は、それまでの収入に対しての確定申告をする義務があります。この場合、出国する前にそれまでの確定申告書を提出する必要があります。また、自分
では無理という方は代理人を立てて提出してもらうこともできます。
確定申告をしないままだと帰化が認められないケースもあるので、忘れずに手続きしましょう。
病気等で確定申告に行けない
確定申告の期間は、平成29年分は2018年2月16日(金)から3月15日(木)となっています。ただ、中には病気やけがで入院しており確定申告にいけないというケースもあります。
このケースでは可能であれば病院で確定申告書を作成し、郵送で税務署に送るというのがベストでしょう。
また、提出は本人でなければいけない訳でもないので、郵送ではなく代理人に依頼することも可能です。e-Taxという選択肢もありますが、インターネットが繋がれていないとできないので、入院中は厳しいかもしれません。
まとめ
一般的に確定申告の場所はどこでも良いわけではなく、住民票の住所を管轄する税務署でおこないます。
ただ、人によっては居住地が違う、事務所と管轄が違う、海外赴任中、住所がないなどのいろいろなケースも想定されます。まずは、自分はどのケースに該当するのかを確認してみましょう。
(2017年現在)