扶養控除とは?
確定申告の際に知っておくべき控除の中でも家庭をお持ちの方にとって非常に重要な一方、配偶者控除と混同しやすいのが扶養控除です。
これは文字通り扶養者、つまり養っている家族(親族)がいる人に対して控除が適用され、課税額を減額させるものです。
配偶者も基本的には「養っている家族」ですから、扶養控除と同じような意味合いの制度です。そのためどうしても混同されてしまいがちですが、確定申告の際にはこの点を間違えないようにしっかりと計算し、申告書を作成する必要があります。
そして扶養控除の控除額は扶養している家族の年齢によって違ってくるため、こちらもよく調べた上で正しい金額を把握しておくことが大事です。
扶養親族に該当する家族の範囲について
この扶養控除の最大のポイントとなるのが「扶養親族とは何か」です。
同じ家に住んでいて養っている人ならすべてが扶養者になるのか、となると必ずしもそうではなく、一定の条件をクリアした場合に扶養親族として当てはまります。
たとえば養っている家族がアルバイトなどで収入を得ていることもありますから、そうした環境も扶養控除と深く関わってくるのです。
扶養親族の基本的な条件は4つあります。
配偶者以外の親族
まず1つ目は文字通り「配偶者以外の親族」。これにはまだ自立していない子供や高齢になって扶養の立場になっている親なども含まれます。もちろん甥や姪、おじ、おぼを扶養している場合にはあてはまります。
そしてそれ以外に里子、そして稀なケースですが「市区町村の長から養護を委託された老人」もこの「親族」として扱われます。ですから世間一般でイメージしている家族よりも多少広い範囲をカバーしたものといえるでしょう。
専門的な法律上の規定では「6親等内の血族か、3親等以内の姻族」が「家族」です。ですから必ずしも血縁関係が重視されるのではなく、どういった関わりの中で暮らし、扶養しているかが問われます。
「生計を一にしている」とは?
2つ目は本人と生計を一緒にしている、つまり扶養控除が適用される人の生計の範囲内で一緒に生活を送っている環境です。
基本的には一つ目の親族ということになるのですが、ポイントは必ずしも一緒に暮らしていることが問われない点です。
たとえば進学のために上京して一人暮らしをしている子供がおり、仕送りや家賃の支払いなどで養っている場合はこのケースに該当します。
所得の合計金額が問われます
3つ目は扶養している親族が収入を得ている場合、どの程度の所得があるのか。
例えば養っている子供がアルバイトなどで高収入を得ている場合には扶養家族とは認められないこともあるわけです。この点は所得金額が38万円以下であること、もしくは給与収入の場合は103万円以内であることが条件です。
ですからアルバイトのような給与所得を得ている場合には103万円以内、ネットビジネスなど給与以外で収入を得ている場合には38万円以内ということになります。
後者の場合は所得税の確定申告と同様、経費を差し引いた形で計算することになるので注意しましょう。お子さんが事業収入を得ている場合などには具体的な収入環境を把握しておく必要も出てきます。
なお、親が年金収入のみを得ている場合には65歳未満は108万円以下、65歳以上では158万円以下が親族の範囲内となります。
青色申告専従者・白色専従者ではない
4つ目は少しわかりづらいですが、扶養している親族が家族従業員として給料をもらっているかどうか。つまり自分で店舗や事務所を経営しており、家族がその従業員として手伝っている場合には扶養親族にはならないのです。
これはこのシチュエーションで個人事業主が青色申告・白色申告を行う場合には扶養控除とは別に経費や控除の形で所得から差し引くことができるメリットがあるからです。
店舗・事業所を経営している方は家族従業員の存在が確定申告にどう影響するのかをきちんと把握しておきましょう。
どれぐらい控除されるのか?
条件をクリアした場合には一定額の控除が適用されるわけですが、控除額は38万円が原則です。ただ扶養親族の年齢によって違いが出てきます。
たとえば確定申告の対象となる年の12月末日現在の年齢が19歳以上23歳未満の扶養親族がいる場合には「特定扶養親族」として63万円、同じ条件で同居している70歳以上の親がいる場合には58万円、親以外(正確には同居老親親等以外)がいる場合に48万円がそれぞれ控除されます。
特定扶養親族がもっとも多いのはこの年齢の扶養者は大学など教育費がかさむためにその負担を軽減するためのものです。
こうしてみても扶養控除は家族を養っている立場としては非常に重要な制度です。
とくに個人事業主の場合は事業が不安定になるリスクもあるだけに税金の負担をできるだけ増やす上で大きな意味を持っています。
これまで条件を挙げてきたようにまず扶養控除が適用されるかどうか条件を確認し、どのような形で扶養控除を利用できるのか、お子さんの収入や同居の有無、親の年金収入なども踏まえたうえで正しい計算と確定申告を行えるよう心がけましょう。