小規模企業共済等掛金控除は個人年金や、心身障害者扶養共済制度など中小企業用の共済保険や確定拠出年金の支払いに対しての控除を受ける制度になります。
確定拠出年金とは個人事業主の支払い義務である国民年金とは別の個人型の年金になり、国民年金の支払いに関しては小規模企業共済等掛金控除ではなく社会保険料控除になりますので区別する必要があります。
小規模企業共済等掛金控除は相互扶助団体、または確定拠出年金に支払った掛金が対象になります。
小規模企業共済等掛金控除の対象になる支払とは
小規模企業共済等掛金控除の対象になる支払は、確定拠出年金、中小企業組合などの共済契約の掛金、心身障害者扶養共済の3つの支払いが対象になります。
確定拠出年金とはiDeCo(イデコ)と呼ばれる個人年金のことで、銀行や証券会社などが行っている個人用の資産運用の支払のことです。
中小企業組合などの共済契約は、小規模企業共済法に定められた共済保険の支払いが対象になりますので注意してください。
心身障害者扶養共済制度は、心身障害者が生きているうちに保護者が納付する掛金のことで、保護者が先に亡くなってしまった場合などに、障害者に終身年金として支給される任意で加入できる保険のことで、各市町村の役場や福祉センターなどで取り扱っている共済制度です。
これら3つの支払いは確定申告時に小規模企業共済等掛金控除として申請ができますので、個人事業主は忘れずに申告書に記入しましょう。
小規模企業共済等掛金控除の小規模企業共済とは
小規模企業共済とは個人事業主など従業員数の少ない企業の役員たちからの共済金の積み立てのことで、退職時や病気の時などに積み立てたお金を共済金として支給される企業共済制度のことです。
独立行政法人の中小企業基盤整備機構が管理、運営を行っています。
小規模企業共済の加入条件として、建設、運輸、不動産、農業、小売、そのほかサービスなどの業務を行っている、総従業員数が20人以下の個人事業主が対象になります。
また、その業種の中でも小売りや卸業などの商業関連、宿泊や娯楽施設などのサービス業関連の企業は、総従業員数が5人以下の個人事業主でも小規模企業共済に加入することができます。
掛金は企業の規模や予算に応じて月に1,000円~70,000円の間で500円単位で選ぶことができ、確定申告時に年間支払額の全額が小規模企業共済等掛金控除で申告することができます。
小規模企業共済の支払いは満期が存在せず、支払額はいつでも増減をすることができます。
支払は毎月支払う方法だけではなく、1年分を前倒しでまとめて支払うことも可能で、支払に余裕があるときは1年分まとめて、翌年から毎月支払いにすることも可能です。
中小企業基盤整備機構はこの小規模企業共済のほかに中小規模倒産防止共済、通称経営セーフティ共済も取り扱いがありますが、こちらは確定申告時の小規模企業共済等掛金控除には含まれませんので注意が必要です。
小規模企業共済等掛金控除の対象である確定拠出年金について
確定拠出年金とは、個人事業主に支払いの義務がある国民年金などの公的年金に加えて、老後の備えにするために支払う私的な年金のことで、2001年より始められた制度です。
確定拠出型年金には個人型と企業型の2種類が存在しますが、個人事業主が加入できるのは個人型の年金になります。
この個人型の確定拠出年金であるiDecoは、高齢化社会への備えとして、証券会社や銀行などで取り扱いが活発化してきました。
iDecoは証券会社や銀行などで取り扱われていますが、運営母体は国民年金基金連合会なので信頼性が高く、投資信託など様々な投資商品から選択して運用することができ、複数の運用商品を組み合わせたり、支払っている最中でも運用商品を変更することも可能です。
個人事業主がiDecoの積み立てをする場合、支払額は月に5,000円~68,000円の間で1,000円単位で設定することができますが、国民年金の月額支払額も合わせて上限が68,000円になるので注意しましょう。
またiDeCoは年金保険になりますので、60歳までは本人死亡や障害を負ってしまった時以外は、途中解約ができない仕組みになっています。
さらにiDeCoは国民年金とは違って信託商品で運用されていますので、通常の国民年金よりも高い金利を得られる可能性がある反面、元本割れをしてしまう商材もあるということを知っておく必要があります。
この確定拠出年金の支払いも、その年の1月から12月までに払い込んだ分全額を確定申告時に小規模企業共済等掛金控除として申告することができ、所得控除になりますので節税効果があります。
一般の保険会社が出している個人年金では全額が所得控除にならないので、個人事業主はこの個人型の確定拠出年金、iDeCoを利用して、老後への備えと節税を同時に行っている人が多いのです。