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個人事業主が従業員を雇用するにあたっての雇用保険の加入手続き

多くの個人事業主はまず自分ひとりでビジネスをはじめ、その後少しずつ事業を拡大していきます。

家族が従業員として働きながら経営を続けていくパターンも多いですが、順調に事業が進んでいる場合ある段階で新たに従業員を雇用する必要が出てくるケースも出てきます。

これが個人事業主にとっての大きな転換点といえるでしょう。それまでは自分のことを考えていればよかったのが従業員の就業環境や生活のことも考える必要が出てくるからです。

目次

雇用保険が必要

従業員を雇用するということは給料を支払うことになるわけですが、もうひとつ重要なのが雇用保険です。

社会保険の一種で、加入者が失業した際の失業保険、ほかにも育児休暇中に受け取ることができる給付金などを受け取ることができる制度です。

この制度は雇う個人事業主が用意する形で加入する形になっており、従業員を雇用しようと思ったときには用意する必要があります。

よく求人探しの際に「社会保険が完備されているかどうか」が重視されますが、それだけ雇用保険が重要というわけです。これをないがしろにしているとよい条件で求人を出しても応募がこないケースもあります。

となると従業員を雇用する段階で個人事業主は雇用保険に加入する準備を整えなければなりません。

そもそも加入する条件を備えているのか、どれぐらい支払う必要があるのかなど、あらかじめ知っておかなければならないことがいろいろとあるからです。

なお雇用保険は雇い主と従業員の両方が支払う形となります。

 

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雇用保険へ加入するポイントは?

加入のポイントは「労働者」の条件を満たしているかどうかです。

一人でもこの「労働者」の条件を満たしている事務所・営業所は雇用保険に加入することが義務付けられているのですが、何を持ってして労働者と扱われるのか?

これは正社員雇用はもちろんのこと、労働時間が1週間に20時間以上、契約期間が31日以上をクリアしている従業員のことを言います。

ですからよほど短時間・短期雇用のアルバイトしか雇っていない限り人を雇用している個人事業主でも加入する必要があるわけです。

どんな手続きが必要?

義務とはいえ労働者を雇ったら通知が来るというわけではないため自分で手続きをして加入する必要があります。

この手続きは労働基準監督署やハローワークで行うことができるので自宅か事業所の近くにある行きやすいところを探しておくとよいでしょう。

どこで手続きをするかによって必要な書類が異なっているので注意しましょう。

  • 労働基準監督署
    ‥「労働保険保険関係成立届」「労働保険概算保険料申告書」
  • ハローワーク
    ‥「適用事業所設置届」「被保険者資格取得届」

そのうえで住民票や事務所を自宅以外に借りて事業を行っている場合には事務所賃貸契約書、開業の際に税務署に提出した開業届の控え、賃金台帳、労働者名簿、出勤簿、雇用保険被保険者証のマイナンバーと本人確認書類などが必要です。

書類の中にはあらかじめ取り寄せて記入しておかなければならないものもあるので事前にしっかりと用意しておきましょう。

参考厚生労働省:事業主の行う雇用保険の手続き

どれぐらいの保険料が必要?

個人事業主から見ると給料を支払う上に雇用保険の保険料も支払わなければならないので負担が大きくなることになります。

個人事業主にとっては頭が痛い問題ですが、従業員を雇用するというのはこうした負担を踏まえたうえで収益を上げていくことなのです。

では保険料はどれぐらいの金額になるのか?
これは雇用した従業員にどれだけ賃金を支払っているかによって違ってきます。

雇用保険の保険料は雇用保険対象者の賃金の総額に保険料率を掛けたものになっています。

この保険料率は年度ごとに変化するので雇用保険の保険料も毎年変化します。
例えば平成28年度では事業者の負担が7/1000、労働者の負担が4/1000、平成29年度は6/1000、労働者負担が3/1000となっています。

こうしてみても従業員を雇用する際には賃金+保険料(雇用保険に加えて労災保険料も加わります)も踏まえたうえで一人雇うことでどれぐらいのお金がかかるのかをよく計算しておくことが大事だということがわかります。

給与だけで考えてしまうといざ雇用した後になって出費が思いのほか多くなってしまう、ということになりかねません。

面倒でもしっかり行うことで経営のメリットに

個人事業主の場合はこうした雇用保険の加入や保険料の計算なども自分で行わなければならない部分も出てきます。

とても大変ですが加入しないとそれこそ「ブラック企業」の烙印を押されてしまうことになりかねません。

もし加入していないと従業員にとってデメリットになるだけでなく、こうした評判が悪化するといった個人事業主にとっても大きなデメリットになってしまうのです。

さらに国では労働条件の改善に取り組んでいる事業主に対して雇用保険を財源に助成金を出す制度も導入しています。

当然この制度も雇用保険に加入している事業所が大前提ですから、加入していない個人事業主はどれだけがんばって環境改善に取り組んでいても助成を受けることはできません。

参考厚生労働省:事業主の方のための雇用関係助成金

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