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「脳腫瘍」基本的な知識・症状・治療方法

「脳腫瘍」と聞くと、多くの方が不安を感じるかもしれません。しかし、この病気についての正しい理解は、不安を和らげ、適切な対処へと導きます。本記事では、脳腫瘍の基本的な知識、症状の特徴、診断方法、そして現代の治療オプションについて詳しく解説し、患者とその家族が直面する課題とサポートに焦点を当てます。

この記事のポイント
  • 脳腫瘍は、原発性と転移性の二つの大きなカテゴリーに分類され、それぞれ異なる特徴と治療法を持つ。
  • 一般的な脳腫瘍の症状には頭痛、めまい、視力の変化、言語や記憶の問題があり、これらは腫瘍の位置や大きさによって異なる。
  • 脳腫瘍の診断は、問診、神経学的検査、MRIやCTスキャンなどの画像診断、そして病理検査によって行われる。
  • 脳腫瘍の治療方法には手術、放射線治療、化学療法があり、新しい治療法には標的療法や免疫療法が含まれる。

脳腫瘍に関する基本情報

定義と一般的な誤解

「脳腫瘍」という言葉を耳にすると、多くの人々が不安を感じるかもしれません。しかし、この病気について正しく理解することが、不安の軽減と適切な対処につながります。脳腫瘍は、頭蓋骨内に発生する新生物、すなわち「腫瘍」のことを指します。これには脳細胞から直接発生する原発性脳腫瘍と、他の身体部位から転移してきた転移性脳腫瘍の二つの大きなカテゴリーがあります。

一般的な誤解として、脳腫瘍というと必ずしも命に関わる病気と考えられがちですが、実際には良性の脳腫瘍も存在します。良性の脳腫瘍は成長が遅く、他の組織に広がる可能性が低いのが特徴です。しかし、その位置や大きさによっては重要な脳機能に影響を及ぼすこともあるため、注意が必要です。

主な種類と分類

脳腫瘍はその発生源によって、大きく二つに分類されます。

原発性脳腫瘍

脳やその周辺組織に初めて発生する腫瘍です。
これらはさらに、脳実質内腫瘍と脳実質外腫瘍に細分化され、それぞれ異なる特徴と治療法を持っています。

  • 脳実質内腫瘍 …脳そのものの組織に発生し、手術による完全な摘出が困難
  • 脳実質外腫瘍 …通常、脳を包んでいる膜や血管などの周辺組織に発生し、摘出が比較的容易

転移性脳腫瘍

体の別の部位、例えば肺や乳房などから脳に転移した悪性腫瘍です。
これらは原発性腫瘍と比較して治療が複雑になることが多く、全身のがん治療との組み合わせが必要となる場合があります。

主な25の脳腫瘍の頻度

組織名グレード頻度推定患者数年齢5年生存率
毛様細胞性星状細胞腫I1.4%28721.792.1
びまん性星細胞腫II2.8%56937.875.0
乏突起膠腫・乏突起星細胞腫II1.6%31442.290.0
退形成性星細胞腫III3.8%76449.341.1
退形成性乏突起膠腫
・退形成性乏突起星細胞腫
III1.7%34548.368.2
膠芽腫IV11.1%221758.810.1
上衣腫II0.6%11630.786.3
退形成性上衣腫III0.4%8225.758.1
神経節膠腫I0.4%8929.398.1
中枢性神経細胞腫II0.5%9732.098.4
髄芽腫IV0.8%15010.968.7
胚腫(germinoma)IV1.7%35019.297.1
中枢神経系悪性リンパ腫IV3.5%70764.442.3
グレードI髄膜腫(注)I22.8%456458.497.9(注)
グレードII髄膜腫II1.3%25856.991.2
グレードIII髄膜腫III0.3%6056.886.6
神経鞘腫(注)I10.1%201351.998.8(注)
GH産生下垂体腺腫(注)I3.6%71548.299.2(注)
PRL産生下垂体腺腫(注)I3.6%72533.799.4(注)
ACTH産生下垂体腺腫(注)I1.0%20746.397.2(注)
非機能性下垂体腺腫(注)I10.4%208854.898.3(注)
頭蓋咽頭腫(注)I2.5%49341.596.5(注)
脊索腫II0.4%8646.989.1
血管芽腫(注)I1.4%27846.696.3(注)
類上皮腫(注)I0.9%18245.098.8(注)
主な25の脳腫瘍の頻度
  • 患者数の推定は脳腫瘍全国統計2001年から2004年のデータに基づく
  •  (注)は良性のグレードIの腫瘍

国立がん研究センター中央病院より

脳腫瘍の症状

一般的な症状

脳腫瘍が引き起こす症状は、腫瘍の位置、大きさ、成長速度によって異なります。しかし、いくつかの一般的な症状には共通点があります。最も頻繁に見られる症状の一つが頭痛です。

脳腫瘍による頭痛は、通常、朝方に強くなる傾向があり、活動によって悪化することがあります。これは、脳内の圧力が変化することに起因します。

他の一般的な症状には、めまいバランスの問題吐き気視力の変化言語や記憶の問題などがあります。これらの症状は、腫瘍が脳の特定の部位に圧力をかけることによって生じることが多いです。

初期サインと警告

脳腫瘍の初期サインは、しばしば見落とされがちです。これは、多くの症状が他のより一般的な病気や状態と似ているためです。たとえば、偶発的な言語の困難や、単純な日常業務に対する集中力の低下は、ストレスや疲労の結果として誤認されることがあります。

しかし、これらの変化が突然、または徐々に現れ、日常生活に影響を与え始めたら、専門家に相談することが重要です。特に、普段と異なる頭痛、性格の変化、手足のしびれや弱さ、視覚や聴覚の異常が続く場合は、脳腫瘍の存在を示唆する可能性があります。

脳腫瘍によって引き起こされる症状は、非常に多様で、時には特定が難しいこともあります。しかし、これらの症状を早期に特定し、適切な診断と治療を受けることが、最善の治療成果を得るための鍵です。

がん情報サービス ganjoho.jpより

脳腫瘍の診断

診断方法

脳腫瘍の存在を疑う症状が見られた場合、正確な診断を下すためには専門的な医療検査が必要です。最初のステップとして、医師は患者の医療歴と症状について詳細な問診を行います。これには、症状の種類、発生時期、進行の度合いなどが含まれます。

次に、神経学的検査が行われます。この検査では、反射、筋力、感覚、調整能力、言語機能、視力など、脳のさまざまな機能が評価されます。これにより、脳のどの部分が影響を受けているかの初期的な推測が可能となります。

最も一般的な画像診断手法MRI(磁気共鳴画像法)CT(コンピュータ断層撮影)です。これらの検査により、脳内の異常や腫瘍の正確な位置、大きさ、形状が可視化されます。MRIは特に、脳腫瘍の診断において高い精度を持つとされています。

病理検査の重要性

画像診断によって脳腫瘍の存在が示唆された場合、最終的な確定診断は病理検査によって行われます。この検査では、腫瘍の組織サンプルを採取し、顕微鏡で細胞の種類や特徴を詳細に調べます。この過程は、通常、手術中に行われることが多いです。

病理検査の結果は、腫瘍の種類、悪性度、および最適な治療法の選択に不可欠な情報を提供します。例えば、特定の種類の脳腫瘍は特定の治療により良く反応することが知られています。また、腫瘍の悪性度は、その進行速度や他の組織への浸潤可能性を示します。

脳腫瘍の治療方法

標準治療オプション

脳腫瘍の治療計画は、腫瘍の種類、大きさ、位置、および患者の一般的な健康状態に基づいて個別に策定されます。治療の主な目標は、腫瘍を取り除くことと、症状の緩和です。

  1. 手術: できる限り腫瘍を取り除くことが、多くの場合、最初の治療オプションです。手術は、腫瘍が周囲の重要な脳組織に影響を与えていない場合、または安全に取り除くことが可能な場合に行われます。しかし、すべての脳腫瘍が手術によって治療できるわけではありません。
  2. 放射線治療: 放射線治療は、手術で完全に取り除くことができなかった腫瘍、または悪性度が高い腫瘍の治療に用いられます。放射線は腫瘍細胞を破壊し、その成長を抑制することができます。
  3. 化学療法: 化学療法は、特定の薬物を使用して腫瘍細胞を攻撃します。これは、手術や放射線治療と組み合わせて、またはそれらの治療が適さない場合に単独で行われることがあります。

新しい治療法と進歩

医学の進歩により、脳腫瘍治療の新しい方法が開発され続けています。例えば、標的療法は、腫瘍細胞の特定の分子や経路を標的として、その成長を妨げる新しいタイプの治療です。これにより、従来の治療法よりも正確かつ効果的に腫瘍を攻撃することが可能になります。

また、免疫療法は、患者自身の免疫システムを活性化させ、腫瘍細胞を破壊することを目指しています。このような治療法は、特に再発する脳腫瘍や治療が困難な腫瘍に対して有望とされています。

脳腫瘍と生活

脳腫瘍の影響と日常生活

脳腫瘍の診断は、患者とその家族にとって大きな影響を与える可能性があります。治療の過程で、日常生活の質が変化することがあります。たとえば、手術や治療による副作用が日常の活動に影響を与える場合があります。これには疲労感、身体的制限、認知機能の変化などが含まれます。

また、脳腫瘍の影響は心理的な面でも現れることがあり、不安、抑うつ、恐怖などの感情を経験することもあります。このような感情は、治療過程のストレス、将来への不確実性、身体的な変化などに起因することが多いです。

この期間中、患者と家族がサポートを得ることは非常に重要です。専門のカウンセリングやサポートグループの利用、リラクゼーション技法の習得など、多くのリソースが利用可能です。

脳腫瘍患者と家族のためのサポート

脳腫瘍の診断は、患者だけでなく、その家族にも大きな影響を及ぼすことがあります。患者と家族は、情報収集、感情の処理、日々の生活の調整など、多くの課題に直面することがあります。

多くの病院や医療センターでは、患者と家族を支援するためのリソースを提供しています。これには、病気の情報、治療オプション、サポートグループ、心理社会的支援などが含まれます。また、オンラインフォーラムや地域のサポートグループを通じて、経験を共有し、相互にサポートし合う機会もあります。

脳腫瘍患者や家族が直面する困難には、個々のニーズに合ったアプローチが必要です。継続的なサポートと情報提供により、患者と家族はこの挑戦的な時期を乗り越える手助けを受けることができます。

脳腫瘍:まとめとアドバイス

早期発見と治療の重要性

脳腫瘍の早期発見は、治療成功の鍵となります。初期の段階で腫瘍を特定することができれば、治療オプションがより多く、治療成果も向上します。定期的な健康診断や、自分の身体の変化に注意を払うことは、脳腫瘍を早期に発見するために重要です。特に、継続的な頭痛、視覚の変化、記憶や言語に関する問題など、普段と異なる症状がある場合は、専門家に相談することが推奨されます。

専門家と連携しての健康管理

脳腫瘍の診断と治療は、多くの場合、様々な医療専門家のチームによって行われます。神経外科医、放射線科医、腫瘍専門医、看護師、心理士などが連携して、患者の治療計画を立て、実行します。患者や家族は、治療の選択肢、副作用の管理、生活の質の維持について、積極的に専門家とコミュニケーションを取ることが大切です。

また、治療中および治療後の生活において、心理的なサポートやカウンセリングを利用することも重要です。これにより、不安やストレスを管理し、精神的な健康を保つことができます。